埼玉県北部を中心に昔から親しまれてきた郷土料理の「塩あんびん」は、見た目は大福ですが、砂糖の代わりに塩を使用した、今なお地域に根強く残る伝統食です。

この記事では、塩あんびんの詳細とともに、なぜ甘くないのか?歴史や発祥、更には埼玉県北部で根付いた理由について、まとめて紹介します。
販売店や作り方は別記事で詳しく紹介しているので、まずは全体像を把握したい方におすすめの内容です。
\埼玉北部の郷土料理!甘くないけど美味しい☆/
塩あんびんとは?
塩あんびんは、砂糖を使わずに“塩だけ”で味付けした小豆の餡を、つきたての餅で包んだ和菓子(餅)です。

現代では「大福=甘い」というイメージが強いですが、塩あんびんの餡は本当に“甘さゼロ”。
塩味がしっかり効いているため、初めて食べると驚く人も多い一品です。
しかし、よく噛むほどに小豆本来の自然な甘みや、もち米の甘さがじんわり広がり、素朴ながらクセになる味わいがあります。
そもそも「あんびん」ってなに??
「あんびん」とは、もち米をついて作った白い餅の中に「小豆あん」を包んだ、関東地方を中心に親しまれてきた素朴な和菓子です。
あんびんと大福の違いは?
あんびんと大福の違いは砂糖か塩の差だけでしょうか?
それが違うんです。
実は包んでいる皮にも違いがあります。
① 素材の違い
● あんびんの皮
→ もち米そのものを蒸して、ついて作る「餅」を使用しています。
- 原材料:もち米+水
- 砂糖は基本使わない
- とてもシンプルな素材
● 大福の皮
→ 多くはもち粉・砂糖を練った“求肥(ぎゅうひ)”を使用しています。
- 原材料:もち粉(白玉粉)、砂糖、水
- 調整のために水飴・でんぷんを加える場合も
- 大量生産品ではさらに改良された配合もあります。

「あんびん」が「ついたお餅で餡を包む」という概念から行くと、この時点で大福はちょっと外れていると考えてよさそうですね。
② 製法の違い
● あんびん
- もち米を蒸す
- 臼や機械でつく
- できた餅で餡を包む
→ 完全に「餅」ベースの皮
● 大福
- もち粉+砂糖+水を加熱して練る
- やわらかい求肥に仕上げる
- 求肥を伸ばし、餡を包む

こうしてみてみると、塩か砂糖かという調味の部分以上に大きな差があることが分かりますね。
③ 食感の違い
● あんびん
- 弾力が強い・噛み応えがある
- 冷めると硬くなりやすい
- 昔ながらの餅の食感
● 大福
- ふわふわ・もちもち・柔らかい
- 冷めても食べやすい(求肥の特性)
- とろりと伸びる食感が特徴

食感の段階でかなりの差を感じますね。
あんびんと大福の差は、味だけではないということですね。
④ 目的・文化的背景の違い
● あんびん
- 砂糖が貴重だった時代の「日常食」「行事食」
- 塩あんびんのように“無糖の餡+塩”という素朴な味わいも多い
- 地域文化として残る郷土食
● 大福
- 甘味文化が発達した江戸時代以降の“お菓子”
- 手土産・甘味処・贈答品として広がる
- 菓子として洗練されたもの

大福はスイーツ、あんびんは郷土食というイメージですね。
あんびんと大福の差を一言でいうと?
あんびんの皮=餅(もち米)
大福の皮=求肥(もち粉+砂糖)
素材も製法も食感もまったく別で、
大福は“あんびんをより柔らかく甘く進化させたお菓子”といえます。
ちなみに郷土食の為、食べ方もそのまま食べるだけではなく、みそ汁に入れるなど様々ですが、詳細はこちらの記事を参照してください。
▶塩あんびんの作り方と食べ方についての記事はこちら
もしかして「あんびん」って、大福よりも低カロリー?
作り方によって材料が大きく異なりますので、一般的な作り方を元に検証していきます。
大福の皮は“求肥”⇒砂糖量が多い
大福の皮には、もち粉に砂糖を加えて練り上げる「求肥」が使われます。
砂糖が30〜50%ほど入るため、皮だけで約160〜190kcalと高めになりやすいのが特徴です。
塩あんびんの皮は“餅”だからシンプルで低め
塩あんびんは、もち米を蒸してついた餅がそのまま皮になります。
砂糖を一切使わないため、皮のカロリーは約130〜140kcalと、大福より20〜50kcalほど低くなる傾向があります。
餡の砂糖量でさらに大きな差がつく
大福の餡は「小豆:砂糖=1:1」が一般的で、50gの餡で約120〜135kcalとなります。
一方、塩あんびんの餡は小豆と塩のみで炊くため、50gで約65〜75kcalと大きく低くなります。
そのため、餡だけでも45〜70kcalほどの差が生まれます。
1個あたりの総カロリー差は80〜120kcalほど
一般的な配合の場合、
- 大福:280〜320kcal前後
- 塩あんびん:195〜215kcal前後
となり、1個あたりおよそ80〜120kcalの差が出る計算になります。
砂糖を使わない「塩あんびん」が生まれた理由は?
塩あんびんのルーツは、江戸時代中期までさかのぼります。
当時は砂糖が非常に高価で、庶民が日常的に使える調味料ではありませんでした。
そこで、家にあった“塩”を使って餡を調味し、小豆ともち米そのものの甘さを活かした餅として作られたのが塩あんびんの始まりといわれています。

現在の埼玉県北部は、昔から農家が多い地域で、新米の収穫祝い、節句、子どもの誕生祝い、地域行事など「ハレの日」に餅を作る文化が非常に強く残っています。
塩あんびんは、このような行事食として家庭で作られ、地域で受け継がれてきました。
発祥と伝承地域
塩あんびんが特に根強く残っているのは、埼玉県北部~東部(行田市・加須市・久喜市・幸手市近郊)です。
地域によって微妙に塩加減が違ったり、餅の大きさが違ったりと、家庭ごとのレシピが存在します。
農林水産省のうちの郷土料理というウェブサイトにおいても、主な伝承地域として、行田・加須・久喜を挙げています。
それ以外の周辺地域においても古くから塩あんびん文化が残っているようで、今でも地元の和菓子店で販売されています。
販売店については、こちらの記事を参照してください。
▶塩あんびんの販売店についての記事はこちら
塩あんびんの特徴
埼玉県北部に伝わる郷土料理である塩あんびんの特徴についてチェックしてみます。
- 材料は「小豆・もち米・塩」だけ
非常にシンプルで、素材の味がダイレクトに感じられます。 - 素材の甘さのみで、塩が強め
小豆の自然な甘み+塩味で引き立つ独特の風味が魅力です。
素材だけでなく、味わいもシンプルですね。 - 昔ながらの祝い餅
新米の時期や節句など“特別な日”に作られてきたという歴史があります。 - 地域差がある
行田・加須など地域ごとに味わいが異なるのもおもしろいポイントです。
同じ「塩あんびん」でも食べ比べてみるのも良いですね♪
注目されてます!
実はこの塩あんびんは、埼玉県北東部の郷土料理として、様々な番組に取り上げられるほど注目度が上がっている食品なんです。
まとめ
塩あんびんは、砂糖を使わず塩で味付けした小豆餡を餅で包んだ、埼玉北部に伝わる郷土料理です。
発祥は江戸時代にさかのぼり、砂糖が貴重だった時代に生まれ、収穫祝い・節句など“特別な日”に食べられてきた伝統食です。
現代でも埼玉北部を中心に食べられており、今なお地元で愛される郷土料理です。
\埼玉北部の郷土料理!甘くないけど美味しい☆/

